2006.10.15 DUO MUSIC EXCHANGE
今回で早くも3回目を迎える『Pop Meets Jazz』。今回は会場を DUO MUSIC EXCHANGEに移しての開催。客席とステージが近いこの場所でよりジャズを身近に感じられるようになった。会場後方には立見客が出るほどの盛況ぶり。
開演時間が10分を過ぎようとした頃、客電が落ち、EQQのメンバーがステージに登場すると客席がシーンと静まる。これもJazzならではの現象ではないだろうか?
そして始まったのはジャズのスタンダードナンバー『autumn in N.Y』。SaxとPfが印象的なこの曲で今回も素敵な一夜の幕が上がる。毎回ゲストの異色な組み合わせもまたPMJの魅力なのだが、今回も例外なく「あり得ない」顔ぶれの出演者が揃う。
ホスト役の西村麻聡(Fence of Defense)が登場し、このイベントの開催のきっかけとなった「SARA」のジャズバージョンを披露する。
一組目のゲストは田村直美(PEARL)。スタートは、映画「バクダッドカフェ」に挿入されている、彼女のお気に入りで心が楽になれるという『Calling You』から。スローバラードで情景が浮かんできそうだ。一曲目が終わり、開口一番「やっぱり気持ちいいね!」最近はジャズアプローチも積極的に行っている彼女は、本当に楽しそうにPEARL時代の曲『ONE STEP』も披露。続いて始まったのはなんと美空ひばりの『りんご追分』。EQQの和テイストアレンジはPMJ史上初!意表をついた選曲だったが、曲が終わると大喝采、まさに何が飛び出すかわからないのがPMJ。
そして田村が敬愛するジャニス・ジョプリンの名曲『MOVE OVER』ではあの有名なリフをEQQがプレイしている。これはまさに「Jazz Meets Rock」の瞬間であった。
ラストは大ヒット曲『ゆずれない願い』アップテンポの原曲が、今日はしっとりとバラードアレンジとなり、一言一言噛みしめるように魂を込めて歌い上げ、感動の熱い拍手が田村を包んでいた。
田村が去ったステージにはEQQのメンバーが残り、続いて力強いドラムで始まったのは、解散した聖飢魔II信者の間ではお馴染みのインストゥルメンタル曲『創世記』。騒めきの中登場したのは、デーモン小暮閣下。閣下の「ワハハハ…Pop Meets Jazz」の一声でステージングは始まった。「とうとうジャズの世界にも足を踏み入れてしまった」という閣下だが2曲目の『New Day Comes』はアップテンポなサンバ調にアレンジされ、羽の王冠がサンバのリズムに合わせて揺れて、それもまた不思議とマッチしている。
この曲と次の『人間狩り』では西村がコーラスとジャンベという西アフリカの打楽器で参加した。それにしても閣下の選曲はジャズマン泣かせのひねくれた曲ばかりらしく、難解な原曲をさらに難解にジャズアレンジをしているため、何回もリハアレンジが繰り返されたようだ。そして未だリハでも成功したことがないという『人間狩り』が始まった。先述のMCを聞かされていた為、緊張感をもって聴いていたオーディエンスも、ばっちりキメた演奏に拍手喝采!!!さらに曲の途中では閣下がおもちゃのラッパを持ち出し、EQQの高野正幹とのSax合戦を行う等の演出も見物だった(笑)しかしこんなオドロおどろしい曲をジャズに変えてしまうところは、もはや人間業ではなく、さながら悪魔業と言ったところか?歌い終わると閣下はもちろん、EQQのメンバーもどっと疲れた様子。すかさず青いハンカチを取り出し笑いを誘う。この日はEQQのメンバーも皆青いタオルを使っていたのも微笑ましい。それにしても「いつも頼りにしている音が鳴っていない中で歌うという、ジャズへの恐怖を思い知らされた」と言っていた閣下だが、実はそれもまた楽しんでいたらしい。そして超高速ジャズのあり得ないアレンジで披露されたのは『地獄の皇太子』。客席からは歓声が沸き起こる。ラストナンバー『ANAPA』をしっとりと聴かせてくれ、再び『創世記』のメロディにのり、ステージを去っていった。
休憩をはさみ、続いてはお楽しみのトークコーナー。田村と閣下は15年ぶり、閣下と森口は10年ぶりくらいの再会ということで話題は最近変わったことについて。
西村は最近ストイックな生活に楽しみを覚えていると話し始める。西村が今年の夏はクーラーに頼らずに生活したと自慢げに話すと、子供の頃にクーラーなんてなかったから別になくても平気という閣下/森口。対して田村は子供の頃から家にクーラーがあったとの事でお金持ち説が浮上。また、閣下は去年の聖飢魔II期間限定再集結でストイックな生活を送りすぎて、今年になってその反動が来ているとの話も(笑)。森口は普段からストイックな生活をしているので、今月は逆にダラダラ生活月間と決めて過ごしているなど、ジャズには関係ない話で盛り上がる中、予定時間を大幅に超えたトークタイムは終了。
西村がEQQのメンバーを一人ずつ紹介しながらステージへ呼び入れる。そして、3組目のゲスト、森口博子を呼び入れる。森口のセクシーな衣装もジャズイベントにはよく似合っている。1曲目では西村もコーラスで参加し、大人っぽくしっとりと歌い上げる。森口自身もジャズは大好きだということで、Vol.1のゲストだった木根尚登にPMJの話を聞き、紹介してもらったそうだ。『ETERNAL WIND』では着席し、ジャズムードに酔いしれる。この反戦歌をボサノバ調にするなど、アレンジ次第で音楽の幅は限りなく広がる。そして思い出タイムと称して始まったのは『恋はタヒチでアレアレア』の振り付け講座。当時ラッキー池田氏がつけた『アレアレア』の振り付けを客席の皆で行うという、PMJの新しいカタチが見えた。しかもこの時、西村も客席のほうで一緒に振付けていたらしいとの噂も(笑)。和気藹々ムードはこのイベントならでは!ヘレン・メリルをカバーした後、ラストは96年にリリースの「もっとうまく好きと言えたなら」で締めくくる。ボーカリストにとってジャズというのは、分かりやすいアレンジのポップスに比べて集中力が必要なため、とても緊張するそうだ。その緊張感を良い意味で楽しむ姿はとてもカッコイイ。最近ではコンサートでもジャズを歌う機会が多いという森口のジャズワールドはこれからも続くだろう。
そして、今日も大トリを飾ってくれるのは、もちろんこのイベントのオーガナイザーである、西村麻聡。「高く高く~♪」のサビの後からレゲエのリズムが導入された『ひまわり』でスタート。西村のソロライブでも演奏しているこの曲もジャズバージョンに変え、しっかりと聴かせてくれる。情緒溢れるこのメロディに新しい息吹を吹き込む。続いて、「季節的にまだ早いけど」とクリスマスナンバーの『きらめく星のメリーゴーランド』。青い照明の似合うスローナンバーで、粉雪舞う夜を思わせる名曲である。ラストはロックンロールテイストの『Loving You』。シャッフルリズムに合わせて自然と体が動き出す。Saxの高野も手拍子で加わる。EQQも最後は一人ずつソロの見せ場でキメてくれ、ラストに相応しい盛り上がりを見せた。
西村からみんなへのメッセージ『Loving You』を受け取った客席からはアンコールの手拍子が沸き起こる。今回から発売されたPMJ特製Tシャツを着た森口、田村、そして西村はPMJキャップも被って登場。閣下が選曲したというアンコールナンバーは『君の瞳に恋してる』。閣下の意外な選曲に驚きながらも最後の時間を楽しんだ。
しかし、Vol.1から3回このイベントを見ているが、西村も言っているように、名曲はどんなアレンジをしても名曲なのだと実感する。ジャズバージョンでのアレンジで新たな発見ができるこのイベントは無限の可能性を秘めているだろう。
来年早々にはVol.4もこの同じ場所での開催が決まり、ますます盛り上がっていくPMJから目が離せない!
(文:貞真由美) (Photo by 向殿政高)
田村直美(PEARL) デーモン小暮閣下 森口博子 西村麻聡
EAST QUEST QUARTET Sax:高野正幹 Ba:小井政都志 Dr:吉岡大輔 Pf:青木弘武
| M1 | autumn in N.Y | EAST QUEST QUARTET |
|---|---|---|
| M2 | SARA | 西村麻聡 |
| M3 | Calling' You | 田村直美 |
| M4 | ONE STEP | 田村直美 |
| M5 | ONE STEP | 田村直美 |
| M6 | Move Over | 田村直美 |
| M7 | ゆずれない願い | 田村直美 |
| M8 | 創世紀(インストゥルメンタル) | デーモン小暮閣下 |
| M9 | 縁 | デーモン小暮閣下 |
| M10 | New Day Comes | デーモン小暮閣下 |
| M11 | 人間狩り | デーモン小暮閣下 |
| M12 | 地獄の皇太子 | デーモン小暮閣下 |
| M13 | ANAPA | デーモン小暮閣下 |
| トークタイム | デーモン小暮閣下/森口博子/田村直美/西村麻聡 | |
| M14 | ありふれた痛み | 森口博子 |
| M15 | ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~ | 森口博子 |
| M16 | 恋はタヒチでアレアレア | 森口博子 |
| M17 | You'd Be So Nice To Come Home To | 森口博子 |
| M18 | もっとうまく好きと言えたなら | 森口博子 |
| M19 | ひまわり | 西村麻聡 |
| M20 | きらめく星のメリーゴーランド | 西村麻聡 |
| M21 | そよ風の道標 | 西村麻聡 |
| M22 | Loving You | 西村麻聡 |
| EN | Can't Take My Eyes Off You | デーモン小暮閣下/森口博子/田村直美/西村麻聡 |